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ウクライナ復興を考察

トランプ大統領とプーチン大統領がウクライナ戦争終結交渉を開始したというニュースが報道されました。

そこで戦争終結時にどのようなことが起こるのか考察してみたいと思います。

歴史を振り返るとヨーロッパは第二次世界大戦後にも復興を行っています。

その復興計画はマーシャル・プランと呼ばれ、アメリカ主導で進められました。

今回もアメリカ主導でウクライナ復興を行う見込みですから、過去を学ぶことで良い投資先をみつけることができるのではないでしょうか。

マーシャル・プランとは?

マーシャル・プラン(European Recovery Program, ERP)は、第二次世界大戦後のヨーロッパ復興を支援するために、アメリカが1948年から1952年に実施した経済援助計画です。

このプランは、ヨーロッパ経済の再建と共産主義の拡大防止を目的としており、最終的にヨーロッパ諸国の急速な復興を支えました。

(1) 概要

  • 援助総額: 約130億ドル(現在の価値で約1500億~2000億ドル相当)
  • 受益国: 16カ国(主に西ヨーロッパ)
  • 主な受益国: イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーなど
  • 方式: 無償資金・低利融資・技術支援
  • 目的:
    • インフラ復興(鉄道、電力、通信など)
    • 工業・農業の再建
    • 貿易の活性化(ドル不足を補う)
    • 共産主義の拡大防止

(2) 成果

  • 経済成長の促進: 受益国のGDP成長率は年平均5~10%と急速に回復。
  • 貿易と市場統合の基盤形成: 欧州経済協力機構(OEEC、後のOECD)の設立。
  • インフラと産業の復興: 鉄道・港湾・発電所などの再建。
  • 通貨安定化: 貿易の自由化とインフレ抑制。

ウクライナ復興との比較

マーシャル・プランの成功は、ウクライナ復興の参考になります。

  • 大規模な資金援助: ウクライナもIMFや世界銀行、EU・米国の支援が必要。
  • 産業基盤の再建: ウクライナは農業・IT・製造業の復興が鍵。
  • 通貨安定と経済統合: EU加盟に向けた改革が進行中。
  • 共産主義封じ込め: ロシアの影響を排除するため、西側との協力強化。

ウクライナ復興による投資機会

ウクライナのインフラ復興には、建設機械や資材の需要が高まると考えられます。

また、主要な小麦の産地であり農業関連企業が恩恵を受けると考えられます。

(1) 建設・インフラ関連

  • キャタピラー(CAT): 建設機械の大手メーカー。
  • ディア(DE): 農業機械・建設機械を提供。
  • ユナイテッド・レンタルズ(URI): 建設機械のレンタル大手。
  • マーティン・マリエッタ・マテリアルズ(MLM): 建設資材を供給。
  • フルーア(FLR): インフラ建設、エネルギー関連のエンジニアリング大手。
  • ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ(J): 都市開発、鉄道、エネルギーインフラの再建で恩恵。

(2) 鉄鋼・資材関連

  • ニューコア(NUE): 建設用鋼材の大手。
  • USスチール(X): 米国の鉄鋼メーカー。

(3)鉄道関連

  • ユニオン・パシフィック(UNP): 米国内の大手鉄道会社。ウクライナの鉄道復興に技術・車両を供給する可能性。
  • CSXコーポレーション(CSX): 鉄道物流で、ウクライナ向けの機材・部品輸送が増加。
  • グリーンブライア・カンパニーズ(GBX): 鉄道貨車の製造会社。ウクライナ復興で鉄道車両の需要増の可能性。

(4) 農業・肥料関連

  • モザイク(MOS): 肥料の大手。
  • ニュートリエン(NTR): 世界最大級の肥料供給企業。
  • CFインダストリーズ(CF): 窒素肥料の大手。

(5)港湾・物流

  • C.H.ロビンソン・ワールドワイド(CHRW): 国際物流企業。復興物資の輸送を担う可能性。
  • エクスペディターズ・インターナショナル(EXPD): 海運・空輸を手がける大手物流会社。

(6)発電所・エネルギー

  • ゼネラル・エレクトリック(GE Vernova): 火力・風力・水力発電の技術提供。
  • ネクステラ・エナジー(NEE): 再生可能エネルギー分野での復興支援が期待。

ロシアの復興シナリオ

ロシアもいずれ戦争による経済的な影響からの復興を進める可能性がありますが、その道のりはウクライナとは異なる課題を伴います。

ロシア復興に関わるポイントを整理すると、以下のようになります。

ロシアの復興が進む可能性のシナリオ

  1. 戦争終結後の制裁緩和
    • 現在、欧米諸国による厳しい経済制裁が課されていますが、戦争終結や政権交代などの条件次第で緩和される可能性があります。
    • 制裁が解除されれば、エネルギー輸出や国際貿易が回復し、経済の復興が進むと予想されます。
  2. エネルギー輸出の回復
    • ロシア経済の大部分は石油・天然ガスの輸出に依存しています。
    • 西側の制裁によってヨーロッパ市場への輸出が減少しましたが、インドや中国向けの輸出は継続されています。
    • 戦争終結後に国際市場での供給が安定すれば、ロシアのエネルギー企業が恩恵を受ける可能性があります。
  3. インフラの再建・近代化
    • 西側諸国の制裁の影響で、技術や部品の供給が途絶え、ロシア国内のインフラは老朽化しつつあります。
    • 復興が進めば、国内の建設・鉄鋼・製造業が恩恵を受ける可能性があります。
  4. 外資の再流入
    • 現在、多くの外資系企業がロシア市場から撤退しています。
    • しかし、戦争終結とともに欧米諸国との関係が改善すれば、外資の再流入が進み、投資の拡大が期待されます。

ロシア復興時に恩恵を受ける可能性のある企業

1. エネルギー関連

  • ガスプロム(Gazprom, ティッカー: OGZD.L)
    • ロシア最大の天然ガス会社で、ヨーロッパ向けの供給が再開すれば収益が回復する可能性がある。
  • ロスネフチ(Rosneft, ティッカー: ROSN.MM)
    • ロシア最大級の石油企業で、原油価格の上昇や輸出回復により恩恵を受ける可能性がある。
  • ルクオイル(Lukoil, ティッカー: LKOH.MM)
    • 民間の石油企業で、西側諸国との関係改善が進めば、投資が再開される可能性がある。

2. 鉄鋼・資材関連

  • ノリリスク・ニッケル(Norilsk Nickel, ティッカー: GMKN.MM)
    • 世界最大級のニッケル・パラジウム生産企業であり、電気自動車(EV)市場の需要拡大により恩恵を受ける可能性がある。
  • セヴェルスタリ(Severstal, ティッカー: CHMF.MM)
    • ロシアの大手鉄鋼メーカーで、国内インフラ復興の需要が増えれば業績が改善する可能性がある。

4. 金融関連

  • ズベルバンク(Sberbank, ティッカー: SBER.MM)
    • ロシア最大の銀行で、経済が回復すれば融資や投資業務が活発化する可能性がある。
  • VTB銀行(VTB Bank, ティッカー: VTBR.MM)
    • ロシア政府系の大手銀行で、経済復興に向けた資金供給の中心的な役割を果たすと考えられる。

5. 農業関連

  • ロスアグロ(RusAgro, ティッカー: AGRO.MM)
    • ロシア国内の農業・食品産業を支える企業で、食糧自給率向上に向けた投資が進む可能性がある。

ウクライナの鉱物資源開発と投資機会

トランプ大統領はウクライナ行ってきた支援を回収するため、5000億ドル相当の鉱物資源で相殺することに「原則的に」同意していると発言しています。

ウクライナの鉱山の現状

  • ウクライナの鉱業セクターは、投資不足設備の老朽化が課題。
  • 資源開発には、技術的・資金的支援が必要。
  • ザヴァリフスキー・グラファイト鉱山(中央ウクライナ)は、1935年から操業。
    • 設備の老朽化や資金不足に直面。

総じて、ウクライナの鉱山権が直接アメリカに移るというよりは、両国間の協力や投資を通じて、ウクライナの鉱物資源の開発と利用が進められる可能性が高いと考えられます。

アメリカ企業のノウハウや技術が必要になりそうです。

上記を踏まえると以下の銘柄が恩恵をうける可能性があります。

  • ニューモント・コーポレーション(NEM) 世界最大の金鉱企業。本社アメリカ。
  • フリーポート・マクモラン(FCX): 世界有数の銅生産企業。本社アメリカ。
  • サザン・カッパー(SCCO): 大手銅生産企業。本社アメリカ。
  • キャタピラー (Caterpillar Inc., CAT): 世界最大級の建設・鉱山機械メーカー。ブルドーザー、油圧ショベル、ダンプトラックなどを製造。本社アメリカ。
  • ディア・アンド・カンパニー (Deere & Company, DE): 「ジョン・ディア」のブランド名で知られる農業・鉱業用機械メーカー。本社アメリカ。
  • テレックス・コーポレーション (Terex Corporation, TEX): 建設・鉱業向けの機械・装置を製造。クレーン、掘削機、コンベヤーなどを提供。本社アメリカ。
  • マニトワック・カンパニー (The Manitowoc Company, Inc., MTW): クレーンの製造を主力とし、鉱山開発向けの重機を提供。本社アメリカ。
  • オシュコシュ・コーポレーション (Oshkosh Corporation, OSK): 特装車両や重機の製造企業。鉱山・建設現場向けの耐久性に優れた車両を提供。本社アメリカ。
  • アステック・インダストリーズ (Astec Industries, Inc., ASTE): 鉱業・建設業向けの機械設備を製造。破砕機、スクリーン、コンベヤーなどを提供。本社アメリカ。

まとめ

ウクライナ戦争が終結すれば、かつてのマーシャル・プランと同様に、国際的な支援のもとで復興が進むと考えられます。

インフラの再建、産業の復興、通貨の安定化が重要な課題となり、IMFや世界銀行、米国・EUの主導で支援が行われる見込みです。

復興が進めば、建設機械、鉄鋼、農業、エネルギー、物流などの分野で大きな投資機会が生まれるでしょう。

米国企業を中心に、建設機械メーカー(キャタピラー、ディア)、鉄鋼企業(ニューコア、USスチール)、農業関連企業(モザイク、ニュートリエン)などが恩恵を受ける可能性があります。

また、ロシアも戦争による経済的影響からの回復を目指すことになり、制裁緩和やエネルギー輸出の回復が重要な要素となります。エネルギー関連企業(ガスプロム、ロスネフチ)、鉄鋼・資材企業(ノリリスク・ニッケル、セヴェルスタリ)などが復興の中心的な役割を果たすかもしれません。

戦争終結後の復興は、歴史を振り返ることで予測しやすくなります。過去の事例を参考にしながら、今後の投資戦略を考えていきたいですね。

ヤマト

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