スタグフレーションとは?
近年、日本経済に「スタグフレーション」の兆候が見られると指摘されています。
スタグフレーションとは、「景気の停滞(stagnation)」と「物価上昇(inflation)」が同時に発生する経済状態を指します。
通常、景気が悪化すると物価は下がる傾向にありますが、スタグフレーションでは「景気が停滞しているのに物価が上昇する」という異常な状況が発生します。
1970年代のオイルショック時に発生したことで有名ですが、日本は今後スタグフレーションに陥るのでしょうか?
本記事では、2024年・2025年の日本経済を分析し、スタグフレーションの可能性について考察します。
2024年の日本経済の現状
2024年の日本経済は、前半は景気が低迷しましたが、後半は少しずつ回復しました。
年間の成長率は +0.3% の見込みです。
四半期ごとの動き
- 1~3月: 景気が悪く、個人消費(買い物など)が減少
- 4~6月: 少し回復し、+1.2%の成長
- 7~9月: ゆるやかに成長し、+0.2%(年率+0.9%)
- 10~12月: まだ確定していないが、消費や輸出が増えて回復傾向
物価(値段)の動き
- 物価は 2%台半ば で上昇し続けた
- 最低賃金が上がったことで、サービスの価格も上昇
給料の動き
しかし 年間では -0.2% 減少し、物価の上昇に追いつかなかった
12月の実質賃金(物価を考慮した給料)は +0.6% 増えた(ボーナスのおかげ)
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2025年の日本経済の見通し
① 日本銀行の金融政策
2024年12月、日本銀行の植田和男総裁は「経済が持続的に2%のインフレ目標を達成する方向に進んでいる」との見解を示し、利上げの可能性を示唆しました。
そして、2025年1月に日銀が短期金利を0.5%に引き上げ。
これは17年ぶりの高水準となり、物価の安定と経済成長のバランスを取ることが目的です。
② 物価上昇
現在の日本の物価上昇は、主にエネルギー価格の高騰や円安などの要因による「コストプッシュ型インフレ」として特徴づけられます。
このような供給側のコスト増加が物価上昇を引き起こし、家計の実質所得の減少や消費支出の低迷を招いています。
③ 供給ショックと国際情勢の影響
1. エネルギー価格の上昇
- ロシア・ウクライナ戦争の影響による原油・天然ガスの価格高騰
- 中東の地政学リスクが供給を不安定化
2. 食料価格の上昇
- 気候変動の影響で、農産物の生産量が不安定
- 輸入依存の高い日本は、食料価格高騰の影響を受けやすい
3. 円安の影響
- 日本の輸入コストが増加し、生活コストの上昇につながる
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スタグフレーションへの対策
① 金融政策の方向性
中央銀行の金融政策は、スタグフレーション対策として難しい選択を迫られます。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
金利引き上げ(インフレ抑制) | 物価上昇を抑える | 景気をさらに悪化させる可能性あり |
金利据え置き or 引き下げ(景気刺激) | 景気を下支えする | インフレを加速させるリスクあり |
➡ 段階的な利上げで、過度なインフレを抑えつつ景気への影響を最小限に抑えることが重要。
② 財政政策の活用
政策 | メリット | デメリット |
---|---|---|
減税・補助金支給(景気刺激策) | 企業・個人の負担を軽減 | 財政赤字拡大のリスク |
公共投資拡大(生産性向上) | 長期的な経済成長に寄与 | 短期的なインフレ抑制には効果が薄い |
価格補助(エネルギー・食品) | 物価上昇の影響を軽減 | 政府支出の増加 |
➡ バランスの取れた政策が求められる。
③ 供給力の強化
スタグフレーションは供給不足が原因のことが多いため、以下の対策が重要です。
- エネルギー政策の見直し(再生可能エネルギーの拡大)
- 労働市場の改善(労働力の流動性向上・技術教育)
- 物流・サプライチェーンの安定化(輸入先の多角化)
④ 賃金政策
- 適正な賃上げを促進し、実質賃金の低下を防ぐ
- 企業の生産性向上とセットで賃上げを行うことが重要
⑤ 長期的な経済構造改革
- 新技術・産業への投資(DX・AI・自動化)
- 企業の国際競争力の強化(規制緩和・自由貿易)
- 税制改革(設備投資・研究開発促進)
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まとめ
現在の日本経済は、景気の停滞と物価上昇が同時に進行する「スタグフレーション」といってよいでしょう。
具体的には、2024年の実質GDPが0.3%の低成長を記録し、個人消費の低迷が続いています。
コストプッシュ型のインフレもスタグフレーションを誘発している大きな原因です。
物価は上昇傾向にあり、特にエネルギー価格の高騰や円安の影響で、家計の実質所得が減少し、消費支出の低迷を招いています。
スーパーの食料品の値段が上がりましたね😅
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